ウレタン防水は液状のウレタン樹脂を塗り重ねて継ぎ目のない防水層を形成する工法です。
コストと性能のバランスに優れ、戸建てからマンションまで幅広く使われている現代の主流防水工法です。
ただし、施工品質によって性能が大きく左右されるため、特徴を理解して適切な工法を選ぶことが、失敗しない防水工事の第一歩になります。
この記事では、ウレタン防水のしくみ・メリット・デメリットをわかりやすく解説し、他の防水工法との比較から最適な工法の選び方まで解説します。
- ウレタン塗装防水の基本的な仕組みと特徴
- ウレタン防水のメリットとデメリット
- 他の防水工法との違いや選び方のポイント
\ 簡単30秒!あなたに合う塗装業者が探せる /

監修者:藤 孝憲
保有資格:宅地建物取引士・SEO検定1級・CFPなど
資格を活かし、中立的な立場で記事の執筆・監修を行っている。常に生活者目線で専門用語もわかりやすく解説し記事を執筆している。
塗装のウレタン防水とは

ウレタン塗装防水は、液体状のウレタン樹脂を塗って硬化させることで、継ぎ目のない防水層を形成する工法です。
硬化後はつなぎ目のないシームレスな層となり、水の侵入をしっかり防ぎます。下地に密着し、長期的に建物を保護できる点が特長です。
また、施工面の形状に制約が少なく、複雑な形状のベランダや屋上でも均一に仕上げやすい柔軟性があります。
主な施工場所と利用シーン
ウレタン塗装防水は、柔軟性と密着性に優れているため、住宅から大型建物までさまざまな場所で活用されています。
代表的な施工箇所は以下の通りです。
- 戸建て住宅のバルコニーやベランダ
- マンションやアパートの共用廊下・屋上
- 商業ビル・倉庫の屋根部分
- 鉄骨造やRC造の陸屋根
さらに、既存防水層の上から重ね塗りできるため、改修工事でも多く採用されています。
下地撤去が不要で工期短縮につながる点が大きなメリットです。
ウレタン塗装防水の普及の背景
ウレタン塗装防水が広く普及した理由は、施工のしやすさとコスト効率の高さにあります。
液状材料のため下地形状を選ばず、複雑な構造にも対応可能です。加えて、材料費・人件費ともに比較的低く、コストパフォーマンスが良好です。
日本の高温多湿な環境下でも安定した防水性能を発揮することから、多くの建物で採用されています。
ウレタン塗装防水の特徴と3つのメリット

ウレタン塗装防水は、柔軟性・軽量性・一体性に優れた万能な防水工法です。
これらの特性により、複雑な形状の箇所でも確実に施工でき、建物への負担を抑えつつ長期的な耐久性を確保できます。
以下では、3つの主要なメリットを詳しく見ていきます。
複雑な形状にも対応できる柔軟性
ウレタン塗装防水は、凹凸のある面や狭い部分にも対応できる高い柔軟性を持っています。
液体状のウレタン樹脂を塗ることで、立ち上がり部分やドレン周辺など、他の工法では施工が難しい箇所にも防水層を形成できます。
また、既存構造を残したまま施工可能な点もメリットです。さらに、柔軟な素材特性により地震や建物の揺れにも追従し、ひび割れを防ぎやすくなります。
軽量で建物への負担が少ない
ウレタン塗装防水は非常に軽く、施工後も建物への負担を最小限に抑えられる工法です。
既存防水層の上に重ね塗りできるカバー工法の場合も重量増加が少なく、建物構造への影響がほとんどありません。
老朽化した木造住宅のベランダや屋根にも安心して施工でき、建物の劣化を防ぎながら防水性能を向上させられます。
この軽量性が、建物の長寿命化にもつながります。
継ぎ目のない一体化した防水膜
ウレタン塗装防水は、塗布して硬化させるため継ぎ目のない一体構造の防水層を形成できます。
このシームレス構造が最大の強みで、シート防水のような継ぎ目からの水侵入リスクを大幅に減らせます。
見た目の仕上がりも滑らかで美しく、防水膜全体の耐久性と防水性を長期間維持できます。
デザイン性と機能性を両立したい建物にも適しています。
\ 簡単30秒!あなたに合う塗装業者が探せる /
ウレタン塗装防水のデメリットと注意点

ウレタン塗装防水は優れた防水性を持つ一方で、寿命・施工性・メンテナンス面に注意が必要です。
これらの弱点を事前に理解しておくことで、劣化や施工トラブルを防ぎ、長く性能を維持できます。
以下では、主な3つの注意点を整理します。
劣化が早く寿命は10年
ウレタン塗装防水の寿命はおよそ10年と短く、紫外線や風雨の影響を受けやすいことが課題です。
FRP防水やアスファルト防水と比べると耐用年数が短いため、定期的な再塗装が欠かせません。
特に直射日光が当たる屋上やベランダではトップコートの摩耗が進みやすく、防水性能が徐々に低下します。
10年を目安に補修や再施工を検討することが、長期的な防水性維持につながります。
施工に時間がかかり下地処理も必要
ウレタン塗装防水は、塗布と乾燥を繰り返す多層工程のため、他工法に比べ施工完了まで時間を要します。
さらに下地の劣化や不陸がある場合には補修作業が必要となり、工期が延びることもあります。
天候条件にも左右されやすく、気温や湿度が施工品質に大きく影響します。
梅雨期や冬季は施工環境に注意が必要で、スケジュールに余裕をもった計画が望まれます。
施工後の定期的なメンテナンスが必要
ウレタン防水は施工後のメンテナンスを怠ると防水性が急速に低下します。
特にトップコート部分は紫外線による劣化が進みやすいため、5年程度を目安に塗り替えを行うことが推奨されます。
メンテナンスを放置すると防水層そのものが損傷し、大規模な改修が必要になる場合もあります。定期点検と塗り替えを計画的に行うことが、長期的なコスト削減にもつながります。
ウレタン塗装防水の費用相場と見積もりのポイント

ウレタン塗装防水は、1㎡あたり4,000円〜7,000円が一般的な相場です。
費用は施工方法や下地状態によって大きく変動するため、見積書の内容を正しく読み解くことが、適正価格で質の高い施工を実現する鍵となります。
以下で、費用帯と見積もり上の注意点を順に解説します。
一般的な費用帯と要因
ウレタン塗装防水の相場は1㎡あたり4,000円〜7,000円で、施工方法によって単価が異なります。
密着工法は比較的安価、通気緩衝工法は手間と材料費がかかり高額になりやすいのが特徴です。
費用を左右する主な要因は以下の通りです。
- 施工面積
- 下地の劣化状態
- 使用材料のグレード
- 建物の立地や施工環境(足場の有無など)
小規模なベランダ防水では20万円前後、大規模な屋上防水では100万円を超えることもあります。
これらの要素を把握することで、見積金額の妥当性を判断しやすくなります。
追加工事や下地補修の確認

見積もりで最も注意すべきは、追加工事や下地補修の有無です。
下地にひび割れ・浮きがある場合は補修作業が必要となり、別途費用が加算されるケースも多く見られます。契約前に、見積書に以下が含まれているか必ず確認しましょう。
- 排水口やドレンまわりの処理
- 既存防水層の撤去作業
- 廃材の運搬・処分費用
これらの項目は見落とされやすい追加コストです。特にドレン周辺の処理は、防水性能と水はけを維持するために重要な工程です。
また、既存防水層の撤去や廃材処分が別途請求となるケースでは、工事費が想定より高くなることもあるため注意が必要です。
見積書でチェックすべき項目
見積書を確認する際は、単に総額を見るだけでなく、項目明細や条件の透明性に注目することが大切です。
特に以下の内容は、信頼できる施工業者を見極めるうえで重要です。
- 単価と施工面積の正確な記載
- 材料費と人件費の区分明示
- 使用するウレタン樹脂の種類とグレードの記載
- 下地処理やトップコートの有無、塗布層数の明記
- 工事保証の内容と期間の明示
これらを確認すれば、見積の抜け漏れや追加請求を防ぎ、安心して契約を結ぶことができます。
明確な見積と相場理解が、結果として費用対効果の高い防水工事につながります。
\ 簡単30秒!あなたに合う塗装業者が探せる /
ウレタン塗装防水の施工方法

ウレタン塗装防水は、建物の状態と目的に合わせて工法を選ぶことが鍵です。
主な施工方法には、密着工法・通気緩衝工法があり、さらに使用するウレタン材にも「1液型」と「2液型」の違いがあります。
それぞれの特徴を理解することで、より適切で長持ちする防水施工を実現できます。
密着工法
密着工法は、費用を抑えたい場合や小規模な場所の施工に最適な工法です。
この方法では、下地にプライマーを塗布し、ウレタン防水材を直接塗り重ねて施工します。コストを抑えながら短期間で仕上げられるため、ベランダやバルコニーなどで多く採用されています。
ただし、下地に水分が残っていると膨れが発生するリスクがあるため、施工前の下地調整が重要です。
改修工事などで予算優先のケースに向いた工法といえます。
通気緩衝工法
通気緩衝工法は、湿気や膨れを防ぎ、長期的に安定した防水性能を保てる点が特徴です。
下地と防水層の間に通気層(通気シート)を設け、下地内にこもる湿気や空気を逃がす構造になっています。古い建物や湿気を多く含む下地に適しており、施工後に防水層が膨らみにくいのがメリットです。
施工費は密着工法より高めですが、改修物件などで防水品質を重視する場合に最適です。
2液型と1液型の違い
施工現場では、求める性能や作業性に応じて「1液型」と「2液型」のウレタン材を使い分けます。
1液型は開封後すぐ使用でき、扱いやすさからDIYや小規模補修に向いています。
一方、2液型は主剤と硬化剤を混合して使用するため、手間はかかりますが、強度・耐久性ともに優れています。
耐候性や密着性を重視するプロの施工現場では、2液型が主流です。施工目的に応じた適切な材料選定が、仕上がりと耐用年数に直結します。
ウレタン塗装防水の施工工程

ウレタン塗装防水は、「下地調整」「防水材の塗布」「トップコート仕上げ」の3工程で施工されます。
各ステップの丁寧な作業が防水性能と耐久性を左右するため、施工の手順を理解しておくことは工事管理にも役立ちます。
以下で一般的な施工の流れを3ステップに分けて説明します。
国土交通省の「建築改修工事監理指針」においても、ウレタン防水は「塗膜防水」として分類され、その品質確保のための標準的な仕様が定められています。
(参考サイト)
国土交通省:公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版
下地調整からプライマー塗布
防水の仕上がりを左右する最も重要な工程が、下地調整とプライマー塗布です。
まず、劣化した旧防水層を撤去し、ひび割れや浮きを補修します。補修後はゴミや油分を丁寧に清掃し、下地を完全に乾燥させます。
そのうえで、プライマー(下塗り材)を塗布して防水層との密着性を高めます。
この作業が不十分だと、防水層の剥がれや膨れなどの欠陥が発生するため、下地状態の確認と下準備が極めて重要です。
主材(ウレタン樹脂)の塗布と重ね塗り
均一で継ぎ目のない防水層を作るため、ウレタン樹脂は複数回に分けて丁寧に塗り重ねます。
プライマー乾燥後、1回目のウレタン塗布を行い、完全に乾燥してから2回目を重ね塗りします。
最終的に1.5〜2mm程度の厚みを確保して、弾力性のある防水膜を形成します。
液状ウレタンは流動性が高く、細かい凹凸部分にも入り込むため、複雑な部位でも完全に防水できます。
塗布の厚み不足や乾燥不良を防ぐため、専門業者による管理施工が望ましいです。
トップコート仕上げと乾燥時間
防水層を保護する最終工程が、トップコートによる仕上げ塗装です。
硬化したウレタン層の上にトップコートを塗布することで、紫外線や雨風による劣化を防ぎ、外観も美しく仕上がります。
トップコートを省略すると、ウレタン層の劣化が早まるため必ず塗布が必要です。
乾燥時間は季節や天候によって異なりますが、目安は24〜48時間。完全硬化まではさらに時間を要するため、施工後数日は立ち入りを避けるようにしましょう。
ウレタン塗装防水のメンテナンス方法

ウレタン塗装防水のメンテナンスで最も重要なのは、5年ごとを目安とした「トップコート」の塗り替えです。
これを計画的に実施し、日常的な清掃(排水口のゴミ除去など)を組み合わせることで、防水層の寿命を20年以上に延ばすことも可能です。
点検は「1年後・以降2〜3年ごと」が理想的なサイクルです。
専門業者による目視点検を中心に、水溜まり・膨れ・ひび割れといった劣化サインを確認します。
また、排水口やドレンの詰まり、シートの浮きなども重要な確認ポイントです。
小さな異常を放置すると雨漏りに発展する可能性があるため、異変があれば早急に専門業者へ相談しましょう。
定期的な点検が、劣化の早期発見と修繕費の抑制につながります。
トップコート塗り替え時期の目安
トップコートの塗り替えは5年ごとを目安に行うのが効果的です。
トップコートは風雨や紫外線で徐々に摩耗し、放置するとウレタン防水層が直接露出して防水性能が急速に低下します。
早めの再塗装により、劣化を防ぎつつ補修費用も抑えられます。
長持ちさせるための日常管理
日常的な清掃と注意が、防水層を守る最も基本的な方法です。
ベランダや屋上の水はけを良好に保つため、ゴミや落ち葉を溜めずに排水口を常にきれいにしておきましょう。
また、重い物を引きずると防水層に傷がつき、そこから劣化が進行することがあります。
普段から「物を置かない」「水を溜めない」「定期清掃を行う」といった小さな配慮が、防水性能の長期維持につながります。
\ 簡単30秒!あなたに合う塗装業者が探せる /
ウレタン防水を依頼する塗装業者の選び方

ウレタン防水の業者選びで最も重要なポイントは、「施工実績の豊富さ」と「明確な保証書の発行」を確認することです。
施工品質は業者の技術力に大きく左右されるため、アフターケアまで含めて信頼できるパートナーを見極める必要があります。
信頼できる業者の見極め方
信頼できる業者を見極めるには、実績・品質・対応力の3点を確認することが基本です。
具体的には、口コミや施工実績の豊富さ、問い合わせ時の対応の丁寧さが判断材料になります。
ホームページで施工例や施工中の写真を公開している業者は、透明性や技術力への自信を持っている傾向があります。
また、複数業者から相見積もりを取り、比較検討することも大切です。
相場より極端に安い見積もりは、工程の省略や品質低下につながるリスクがあるため要注意です。
保証内容のチェックポイント
優良業者ほど、施工後の保証が明確で充実しています。
工事保証は最低5年、理想は10年ある業者を選びましょう。
保証期間だけでなく、「施工保証」と「材料保証」が別々に設定されているかも確認が必要です。
保証内容の範囲や条件を事前に書面で確認し、保証書は必ず発行してもらい保管しておきます。
保証体制が整っている業者は、施工後のトラブルにも迅速に対応してくれるため、長期的な安心感があります。
施工不良を防ぐための対策
施工不良を防ぐには、着工前からの説明・報告・記録の3つを業者に求めることが効果的です。
以下の点を契約前に確認しましょう。
- 着工前に工事内容や工程の説明が丁寧か
- 工事中に進捗報告があるか
- 写真などで施工記録を残してくれるか
これらが徹底されている業者ほど、工事の透明性と信頼性が高く、トラブルを未然に防げます。
また、天候による工期の遅延リスクなども事前に説明してくれる業者は責任感があり、信頼できるパートナーといえます。
\ 簡単30秒!あなたに合う塗装業者が探せる /
ウレタン防水と他の防水工法の違いを比較

ウレタン防水と他の工法との最大の違いは、「施工性(塗るだけ)」と「柔軟性」です。
FRP防水は硬く、シート防水は複雑な形状に不向きです。
一方ウレタン防水は液体状のため場所を選ばず、建物の動きにも追従できます。
ここでは、それぞれの特徴を詳しく比較します。
FRP防水との違い
FRP防水は硬くて耐久性が高い反面、揺れに弱くひび割れしやすい工法です。
対してウレタン防水は柔軟で、建物の動きに追従できる点が強みです。
FRP防水はガラス繊維を含んだ樹脂を塗って硬化させるもので、頑丈な防水層を作ります。そのため、屋上駐車場など車両が出入りする環境に最適です。
しかし、硬質なため振動や変位に弱く、住宅の屋根やベランダには不向きです。揺れに対応できるウレタン防水の方が、一般住宅の施工では適しています。
シート防水との違い
シート防水は施工が早く、短工期で仕上げられる点が特徴ですが、凹凸のある下地には不向きです。
塩ビやゴム製のシートを貼り付ける工法で、平面が多い建物には効率的に施工できます。
一方で、立ち上がりや細かい形状を持つ場所では施工精度が落ちやすいという弱点があります。
このような複雑な形状の箇所には、液状で自在に塗布できるウレタン防水が適しています。
アスファルト防水との違い
アスファルト防水は耐久性が非常に高いものの、重くて施工に火気を使うため、安全性や環境面でのハードルがあります。
熱を加えたアスファルトを複数層で塗り重ねるため、強度と防水性は抜群ですが、作業時の安全管理や近隣への配慮が必要です。
その一方で、ウレタン防水は軽量で火を使わない施工が可能です。
建物への負荷を軽減でき、環境への配慮面でも優れています。
こうした理由から、現在ではウレタン防水を選ぶケースが増えています。
ウレタン塗装で防水をして外壁を守ろう

ウレタン塗装防水は、柔軟性や密着性に優れ、複雑な形状にも対応できる防水工法です。
その反面、施工には高度な技術が求められます。施工者の経験値や環境管理によって仕上がりに差が出てしまうので、業者選びは慎重に行いましょう。
費用面では、相場の把握と見積書のチェックが不可欠です。
また、施工後の定期的な点検とメンテナンスで、長期間建物の防水性能を維持できます。
ウレタン塗装防水を成功させるためには正しい知識と判断力、適切なメンテナンス計画が不可欠です。
本記事を参考に、ウレタン防水を取り入れてみてください。
ウレタン防水塗料を使用した外壁塗装を検討されている方は、ぜひペイプロをご利用ください。
ペイプロは、外壁塗装の専門業者を比較・紹介してくれる無料のマッチングサービスです。
厳選された優良な外壁塗装業者を紹介しているため、ウレタン防水塗料に対応している業者も揃っています。
ご相談は無料で行っておりますので、お気軽にお問い合わせください!
\ 簡単30秒!あなたに合う塗装業者が探せる /
