外壁塗装のひび割れ(クラック)は、建物の美観を損なうだけでなく、雨水の侵入による内部劣化や構造的な問題へとつながる重大なトラブルの一因です。
- 外壁塗装に発生するひび割れの種類と原因の詳細
- 各クラックの危険性と適切な補修方法、費用の目安
- ひび割れを防ぐための予防策や建物長寿命化のポイント
外壁のひび割れは放置すると建物の劣化を加速させるため、原因を正しく理解し早期に補修することが不可欠です。早めの対策で大切な家を長く守りましょう。
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監修者:藤 孝憲
保有資格:宅地建物取引士・SEO検定1級・CFPなど
資格を活かし、中立的な立場で記事の執筆・監修を行っている。常に生活者目線で専門用語もわかりやすく解説し記事を執筆している。
外壁にひび割れ(クラック)が発生する原因

外壁のひび割れは、経年劣化や振動・地震・施工不良・建物の構造問題といった複数の要因で起こります。放置すれば美観を損ねるだけでなく、雨水の侵入により深刻な被害をもたらす可能性があります。主な原因は以下の5つです。
- 外壁塗装の経年劣化によるひび割れ
- 車や電車による振動によるひび割れ
- 地震の発生によるひび割れ
- 外壁塗装業者の施工不良によるひび割れ
- 住居の構造の問題によるひび割れ
外壁塗装の経年劣化によるひび割れ
外壁塗装は紫外線や風雨、寒暖差の影響で徐々に劣化し、約10年を目安にひび割れが発生しやすくなります。
特に立地条件によっては劣化スピードが速まり、海沿いの塩害や山間部の気温差でより早期に症状が出ることもあります。

車や電車による振動によるひび割れ

振動によるひび割れは、道路沿いや線路近くの建物で起こりやすく、窓回りや屋根との取り合い部分といった構造的に弱い箇所に発生しやすいのが特徴です。
小さな振動の積み重ねが、時間とともに外壁へダメージを蓄積します。
地震の発生によるひび割れ
地震が起きると建物全体にひずみがかかり、特に老朽化した住宅ではひび割れが発生しやすくなります。日本では耐震性能を重視した施工が行われていますが、古い住宅の中には耐震基準を満たしていないものもあり、特に注意が必要です。
外壁塗装業者の施工不良によるひび割れ

施工不良は外壁のひび割れを早期に招く代表的な原因のひとつです。下地処理を怠ったり、粗悪な塗料を使用した場合、外壁の耐久性は大きく低下します。こうしたリスクを避けるためには、信頼できる業者を選び、施主自身も工事内容をしっかり確認することが不可欠です。
住居の構造の問題によるひび割れ
基礎の沈下や土台のゆがみといった構造不良は、外壁クラックを伴う重大なトラブルに直結します。特に施工不良や老朽化した住宅では顕著であり、補修検討時には建物全体の構造チェックも必要です。
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ひび割れの種類

外壁のひび割れは大きく6種類に分類され、それぞれ発生原因やリスクが異なります。種類ごとに危険度が大きく異なるため、正しく見極めることが早期対処の鍵です。
ひび割れの種類
- ヘアクラック
- 構造クラック
- 開口クラック
- 乾燥収縮クラック
- 縁切れクラック
- 外壁材の浮きによるクラック
ヘアクラック
ヘアクラックは髪の毛のように細い表面的なひびで、すぐに建物の強度に影響を与えるものではありません。ただし放置すると雨水が侵入し、木材の腐食や鉄骨のさびを招きます。特に築10年以上の住宅や日当たりの強い外壁で多く見られるため、早めの専門家相談が安心につながります。
構造クラック
構造クラックは幅1mm以上と太く、建物の基礎沈下や地盤のゆがみといった重大な構造異常を示します。
放置すると建物全体の耐久性が損なわれ、最悪の場合は崩壊につながる危険性があります。古い住宅や基礎劣化の進んだ建物で発生しやすく、発見したら早急に専門業者へ調査を依頼するべき深刻なひびです。
開口クラック

開口クラックは窓や扉の角など開口部から斜めに入るひびで、揺れや建具の開閉によって発生します。
雨漏りリスクや外観劣化につながり、住まいの資産価値を損ないやすいのが特徴です。外から目につきやすいため、発見したら早めに補修することが望まれます。
乾燥収縮クラック
乾燥収縮クラックはコンクリートやモルタルが乾燥縮小する際に発生する0.5mm程度の細いひびです。
一見軽微でも、雨水が侵入すれば内部劣化を進めてしまいます。特に新築に近い住宅やモルタル外壁で多く見られるため、数が多い場合は専門業者に点検を依頼することが必要です。
縁切れクラック
縁切れクラックは外壁材の端部に発生し、施工時の接着不良や経年劣化が原因です。
このクラックが放置され進行すると、外壁材そのものが剥がれ落ちて落下事故を起こす恐れがあります。特に2階以上の建物では危険度が高く、即時の補修が求められます。
外壁材の浮きによるクラック
外壁材の浮きによるクラックはもっとも緊急度の高いひび割れです。
下地から外壁材が浮き、盛り上がって剥離しかけることで発生し、施工不良や内部腐食が原因となります。この状態を放置すると外壁材が脱落し重大事故につながることから、発見したら直ちに対処が必要です。

外壁のひび割れ(クラック)を放置するリスク

外壁のひび割れを放置すると、見た目の劣化から雨漏り、耐久性の低下、さらには健康被害やシロアリ被害まで、住宅に深刻な悪影響を及ぼします。一見小さな傷のように見えても軽視せず、早めに補修を行うことが長期的に住まいを守るために不可欠です。ここでは5つの主なリスクを解説します。
- 見た目が劣化する
- 雨漏りが発生する
- 建物の耐久性が下がる
- 湿気によりカビが発生する
- シロアリが発生する
見た目が劣化する
外壁のひび割れは見た目の印象を大きく損ない、資産価値の低下に直結します。
放置するほどひび割れは拡大し、買主や借主から「手入れが行き届いていない家」と判断されがちです。その結果、当初の想定価格よりも低い価格でしか売却できなかったり、場合によっては買い手すら見つからない恐れもあります。
雨漏りが発生する

ひび割れは雨水の侵入口となり、内部の木材腐食や鉄骨のさび、内装材の劣化を引き起こします。一度内部に水が染み込むと劣化は急速に進み、早期に補修を行わなければ大規模工事が必要になる事態に発展します。
建物の耐久性が下がる
雨水がひび割れから染み込み続ければ鉄筋が錆び、コンクリートの破壊や剥離につながります。
鉄筋の膨張によって新たなひび割れが拡大し、建物全体の強度を低下させる悪循環に入ってしまいます。最悪の場合は建物の崩壊に至ることもあり、耐久性の観点からも最も深刻なリスクのひとつです。
湿気によりカビが発生する
ひび割れを通じて浸入した雨水は湿気を生み、室内にカビを繁殖させます。
カビは建材を傷めるだけでなく、胞子が空気中に飛散することで住人の健康にも悪影響を与えます。喘息やアレルギーを抱える人、子供や高齢者にとっては特に危険であり、見過ごせないリスクです。
シロアリが発生する
雨水で湿ったひび割れ周辺はシロアリにとって格好の住処となり、放置すると建物内部に侵入される可能性があります。
シロアリ被害は木材の食害によって建物の構造を弱め、床の沈下、窓や扉の開閉不良、建物の傾斜といった形で現れます。これらは日常生活に大きな支障を与えるだけでなく、安全性の面でも重大な問題です。
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外壁塗装のひび割れ(クラック)の補修方法

外壁のひび割れの補修は、ひびをカットして埋める「Uカット工法」や内部に樹脂を流し込む「樹脂注入工法」など、ひび割れの深さや原因に合わせて行います。
ひび割れが幅0.2mm以下であれば「ヘアクラック」と呼ばれ、直ちに構造に影響する心配はありません。
ただし発見した段階で専門家に相談しておくことで安心につながります。一方で、0.2mmを超える幅になると雨水浸入のリスクが高まり、放置すれば建材劣化や構造問題を引き起こすため、早急な補修が必要です。
外壁塗装のひび割れ(クラック)補修方法の種類
外壁のひび割れ補修には3つの代表的な工法があり、ひび割れの深さや原因に合わせて使い分けられます。
Uカット工法
比較的浅いひび割れにはUカット工法が最適です。ひびをU字型に切削したうえで防水性の高い材料を充填する方法で、作業がシンプルなため費用を抑えやすい点がメリットです。
樹脂注入工法

深いひび割れや構造部分に影響が及ぶ可能性がある場合は樹脂注入工法が有効です。専用の樹脂を奥深くまで注入し、内部から強度を回復させます。根本的な補強ができる反面、費用がやや高めです。
カットシーリング充填工法
より深いひび割れの場合はカットシーリング充填工法が用いられます。ひびを切り出してシーリング材を充填する方法で、防水効果が期待できます。ただし、ひび割れの発生要因が解消されていないと再発の可能性が残る点には注意が必要です。
補修工事の流れ
補修工事は以下の手順で実施されます。
- ひび割れ(クラック)の調査・診断
- 補修方法の選択
- 下地の準備(清掃・乾燥)
- 補修材の充填
- 表面の仕上げ(外壁塗装など)
この流れを踏むことで、ひび割れの原因を除去し、再発を防ぎつつ外観も改善できます。
外壁塗装のひび割れ(クラック)の補修費用の相場

外壁のひび割れ補修費用はひび割れの規模や深刻度によって大きく変動し、小さな補修で済めば数万円程度で収まりますが、構造にまで影響する深刻なケースでは100万円以上に膨らむこともあります。
細い表面的なひび割れであれば、シーリング材を充填する程度の工事で済み、費用は十数万円以下で抑えられるケースもあります。
しかし、基礎や構造に関わる深刻なひび割れとなれば大規模な補強工事が必要で、外壁の一部撤去や樹脂注入、新規の外壁張替えまで行う場合もあります。
つまり、ひび割れが深く広がるほど工事規模は大きくなり、その分費用も跳ね上がる傾向にあります。
外壁塗装とひび割れ補修の費用
外壁塗装と合わせてひび割れ補修を行うのが一般的で、効率的に施工できます。その場合の概算費用は以下の通りです。
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 足場代 | 30万円~50万円 |
| 材料費 | 20万円~50万円 |
| 人件費 | 50万円~100万円 |
| ひび割れ補修費 | 10万円~50万円 |
| 合計 | 110万円~250万円 |
合計で110万円~250万円程度が相場となります。ただし建物の規模や立地条件によって変動するため、実際の費用は業者の見積もりで確認する必要があります。
外壁塗装のひび割れ(クラック発生)を防ぐための対策

外壁のひび割れを防ぐには、定期点検と適切なメンテナンス、塗料の選定、信頼できる業者選びが欠かせません。これらを実践することで、ひび割れの発生を最小限に抑え、外壁を長持ちさせることができます。
外壁塗装の定期的な点検とメンテナンスをする

ひび割れの予防は日常的な点検から始まります。外壁の汚れやシミ、塗膜のはがれや膨れ、小さなクラックなどを早期に発見できれば、トラブルを未然に防げます。また、塗料の寿命は一般的に10年前後のため、その前に再塗装を検討することで大きな劣化を防ぐことができます。
適切な塗料を選択する
塗料選びは外壁の耐久性に直結する重要な要素です。
| 塗料の種類 | 特徴 |
|---|---|
| シリコン系 | ・高耐久性 ・高防汚性 ・高光沢 |
| ウレタン系 | ・高耐久性 ・高弾性 ・高防汚性 |
| アクリル系 | ・汎用性が高い ・比較的安価 |
立地条件(海沿い・都市部・寒冷地など)や外壁材、予算を考慮して、最適な塗料を選択することが長期的な維持に有効です。
優良塗装業者に依頼する
外壁工事の品質は業者の技術力に大きく左右されます。信頼できる業者を選ぶ際のポイントは以下の通りです。
- 実績と経験が豊富である
- 適切な保険に加入している
- 丁寧なヒアリングと提案をしてくれる
- アフターフォローが充実している
複数の業者から見積もりを取り、価格だけでなく工事内容や対応、使用塗料まで比較するのが安心です。信頼できる業者を選べば、ひび割れの再発を防止し、美しい外壁を長く保つことができます。
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外壁塗装業者の選び方のポイント

後悔しない外壁塗装業者を選ぶポイントは、「実績・評判」「保証内容」「アフターフォロー」の3点を確認することです。塗装の仕上がりや耐久性は業者の技術力に大きく左右されるため、これらのポイントを比較検討し、信頼できる業者を選びましょう。
外壁塗装の実績と評判がよい
実績と評判は、業者を見極める最初の基準です。
口コミや知人の紹介を調べたり、過去の施工事例を見せてもらうことで、その業者の実力を把握できます。特に知人や近所の施工実績がある場合は、実際の仕上がりを確認できるため安心です。
きれいな仕上がりが確認できれば、信頼して依頼できる可能性が高まります。
保証内容が充実している外壁塗装業者を選ぶ

保証は業者の品質に対する自信の表れです。施工の品質保証、塗料の保証、定期点検・補修といったサポートが揃っているかどうかが重要です。
長期かつ明確な保証を提供している業者であれば、万が一のトラブルにも責任を持って対処してくれます。逆に、保証期間が極端に短く曖昧な業者はリスクが高いため避けるべきです。
アフターサービスが丁寧な外壁塗装業者を選ぶ
工事完了後も安心できるかどうかは、アフターサービスで決まります。
定期メンテナンスのお知らせや情報提供、問い合わせへの迅速な対応など、細やかなフォローをしてくれる業者は信頼性が高いといえます。工事後も顧客とのつながりを大切にする業者なら、施工に対しても誠実である可能性が高いです。
まとめ

外壁のひび割れは放置すると見た目だけでなく、建物の構造や住環境に深刻な影響を及ぼすため早めの補修が必要です。そのためには、定期的な点検とメンテナンス、そして信頼のおける塗装業者への依頼が不可欠です。
業者選びで迷う方には、優良業者を紹介してくれる「ペイプロ」の利用がおすすめです。全国28,000社から選ばれた信頼性の高い業者を紹介してもらえるうえ、火災保険や助成金の申請サポートも無料で受けられるため、費用を抑えながら安心の工事が叶います。
外壁塗装が必要かどうか少しでも悩んでいる方は、無料相談から気軽に問い合わせてみると安心です。放置して被害を拡大させる前に、一度専門家に相談することが住まいを長持ちさせる第一歩となります。
