外壁塗装の養生とは、塗装しない部分に塗料が飛び散らないようビニールシートやマスキングテープで保護する作業のことです。
養生の主な目的は、塗料の付着による建物や車、植木などの汚れ防止だけでなく、塗装の仕上がりを美しくし、塗り分けの境界線を整えることにもあります。養生がきちんと行われないと、周囲への飛散トラブルや仕上がりのムラが発生しやすくなり、近隣とのトラブルにもつながります。
- 外壁塗装における養生の意味と具体的な役割
- 養生の目的(汚れ防止、仕上がり向上、近隣配慮など)
- 養生の基本的な手順と使用する道具や材料
適切な養生を施すことで、美しく長持ちする外壁塗装が
\ 簡単30秒!あなたに合う塗装業者が探せる /

監修者:藤 孝憲
保有資格:宅地建物取引士・SEO検定1級・CFPなど
資格を活かし、中立的な立場で記事の執筆・監修を行っている。常に生活者目線で専門用語もわかりやすく解説し記事を執筆している。
外壁塗装における養生とは?

外壁塗装における養生は、非塗装部分への塗料飛散防止と、塗装ラインを美しく仕上げるための保護作業です。
国土交通省の『公共建築改修工事標準仕様書』においても、工事中の既存部分への汚染防止や損傷防止として養生が規定されており、建築工事における必須工程です。
具体的には、窓、玄関、室外機、植栽などをビニールやテープで覆い、ローラーからの塗料飛散や風による拡散を防ぎます。また、色を塗り分ける境界線(ライン出し)を正確に行う役割も担っており、養生の精度が最終的な仕上がりの美観を決定づけます。
(参考)
国土交通省:「公共建築改修工事標準仕様書」
養生の主な目的と役割
養生には大きく分けて3つの目的があります。
- 飛散事故の防止:
近隣の建物や車、植栽への塗料付着を防ぎ、損害賠償などのトラブルを回避します。 - 仕上がり品質の向上:
サッシや付帯部との境界線を直線的に出し、美しい見栄えを確保します。 - 安全の確保:
足場のメッシュシートにより、工具の落下防止や強風対策を行います。
養生は手抜きをすると即座にトラブルにつながります。塗料が付着してからでは除去作業に多大な費用と時間がかかるため、「汚さないための予防」が最もコストパフォーマンスの高い対策です。
外壁塗装で養生が必要な場所

外壁塗装での養生は、生活への影響や近隣トラブルを防ぐために特に重要な4つのエリアで丁寧に行う必要があります。これらは「生活設備まわり」「外構まわり」「車両等」「足場設置時の養生」です。以下、それぞれのポイントと注意点を具体的に解説します。
生活設備まわり

生活設備への養生は、生活の支障を防ぐために必要です。事前に業者と使用方法を話し合うことが大切です。
生活設備まわりでは、窓・玄関ドア・エアコン室外機・換気扇・給湯器などが養生対象です。以下の表は、それぞれの養生場所ごとの具体的な方法と注意点を示しています。
| 養生場所 | 方法・注意点 |
|---|---|
| 窓・サッシ | 塗料が飛ばないようビニールで覆う。換気が必要な窓は開閉可否を業者に事前に伝える。 |
| 玄関ドア | 出入りに支障が出ないよう開閉可能な状態で養生。ビニールがバタつかないよう丁寧に固定。 |
| エアコンの室外機 | 通気性のあるカバーで保護。運転の有無によって養生方法が異なるため、使用予定を事前に相談。 |
| 換気扇・給湯器 | 換気口(給気口)を完全に塞がないように注意し、安全性を保ちながら最低限の養生を行う。 |
外構まわり

外構も塗料飛散の影響を受けやすいため、特に密集地や庭付き戸建てでは入念に養生する必要があります。
下記の表は主な養生対象と方法・注意点をまとめたものです。木材部分や植物は特に丁寧な配慮が求められます。
| 養生対象 | 方法・注意点 |
|---|---|
| ベランダ・ウッドデッキ | 床面や手すりをシートやテープでしっかり保護。木材部分は塗料が染み込みやすいため、特に入念な養生が必要。 |
| 植木・花壇・芝生 | 植物には通気性のある不織布などで優しく覆い、水やりや採光を妨げないよう注意。密閉しすぎないよう配慮が必要。 |
車両等

車やバイク、自転車なども塗料汚れを防ぐための適切な養生が必要です。移動が難しい場合は覆いをかけて保護し、施工日程との調整を忘れずに行いましょう。
以下の表は車両ごとの具体的な養生方法の一覧です。
| 養生対象 | 方法・注意点 |
|---|---|
| 自家用車・バイク | 一時的に別の場所へ移動するのが理想。難しい場合は、専用カバーや厚手のビニールで全体を覆い、風でめくれないように固定する。 |
| 自転車・ベビーカーなどの軽車両 | 屋内や別スペースに一時保管するのが望ましい。保管が難しければ、カバーをかけて養生し、風によるズレを防ぐ。 |
また、車の出し入れがある家庭では、施工日程との調整が必要です。何日にどこへ移動すればよいか、あらかじめ業者と確認しておきましょう。
外壁塗装工事での足場

安全確保のため、足場全体に通気性のあるメッシュシートなどの養生が必須です。隣家や道路側との境界部分は特に配慮が必要で、構造物の保護も欠かせません。
以下の表に足場養生の主要対象と方法、注意点を示しています。
| 養生対象 | 方法・注意点 |
|---|---|
| メッシュシート(飛散防止ネット) | 足場全体を覆って塗料の飛散や工具の落下を防止。通気性のある素材を使用し、特に住宅密集地や道路沿いでは必須。 |
| 隣地・道路との境界部分 | 足場が隣家に接する場合は、シートの二重張りや厚手のカバーで接触を防止。歩道側ではカラーコーンや注意書きなどで通行人に配慮する。 |
| 庭木・塀・物置などの構造物 | 足場が接触する可能性がある部分は、クッション材やシートで覆い、傷や破損を防ぐ。 |
\ 簡単30秒!あなたに合う塗装業者が探せる /
養生で使う資材の種類と特徴一覧

現場の状況に適した資材を選定することで、作業効率と保護性能が向上します。主に使用されるシート類とテープ類について解説します。
主なシート・カバー類
広範囲を覆うための資材です。場所によって通気性や強度が異なります。
| 養生資材 | 主な使用箇所 | 特徴・メリット |
|---|---|---|
| マスカー | 窓・サッシ・ドア | テープとビニールが一体化しており、効率的に広い面を覆える。 |
| 養生ポリシート | 土間・壁面 | 安価で広範囲を保護できるが、滑りやすいため床面使用時は注意が必要。 |
| ノンスリップシート | 玄関・通路・階段 | 厚手で破れにくく、滑り止め加工が施されているため歩行場所に適する。 |
| メッシュシート | 足場全体 | 塗料飛散を防ぎつつ、風を通すため足場の倒壊リスクを低減する。 |
| カーカバー | 自動車 | 不織布製など、車のボディを傷つけにくい素材で作られている。 |
テープ・固定具類
養生の固定や、細かいライン出しに使用される資材です。
| 養生資材 | 主な使用箇所 | 特徴・メリット |
|---|---|---|
| マスキングテープ | 塗装の境界線(見切り) | 粘着力が調整されており、剥がした際に糊残りが少なく、直線がきれいに出る。 |
| 養生テープ | 資材の固定 | 粘着力が強く、手で簡単に切れる。外壁や部材への固定に使用。 |
塗装における養生の費用相場

外壁塗装の養生費用の相場は、一般的な30坪の戸建てで3万~6万円(税抜)、単価としては1㎡あたり300~500円が目安です。この金額には材料費と職人の作業手間賃が含まれます。
以下の表に費用内訳を示しています。
| 項目 | 内容 | 目安費用(税抜) |
|---|---|---|
| 養生材(ビニール・マスカー等) | 材料費 | 約1万~2万円 |
| 養生作業費 | 養生の設置・撤去にかかる人件費 | 約2万~4万円 |
| 合計 | 約3万~6万円 |
住宅規模や外構の複雑さで±1万円程度変動します。
見積もりでチェックすべき項目とは?

養生費の見積もりで最も重要なのは、費用の内訳や根拠が明確であることを確認することです。以下のポイントを必ずチェックしましょう。
- 養生が明記されているか
→「養生材費」「飛散防止ネット設置費」などの記載をチェックしましょう。 - 面積や単価に根拠があるか
→単価×面積で費用の妥当性を判断し、必要に応じて現地調査の根拠も確認しましょう。 - 養生撤去費が含まれているか
→設置・撤去の両方が含まれているかを確認。別途費用がかかることもあります。
これらを確認するだけでなく、養生の方法や使用資材について業者から説明を受け、納得して契約を結ぶことが大切です。
\ 簡単30秒!あなたに合う塗装業者が探せる /
外壁塗装における養生の手順

養生作業は、大きく分けて「1.準備・下地処理」「2.シート設置(マスキング)」「3.撤去・確認」の3ステップで進行します。各工程で順序を守ることが、トラブル防止の鍵です。
ステップ1.作業前の確認と準備
養生前には現場状況の確認や段取りが重要です。
窓の開閉やエアコン使用有無など生活設備について業者と打ち合わせを行い、近隣への挨拶や告知も忘れずに。養生場所リストアップや資材準備も行います。
ステップ2.養生シートの設置と固定
塗料が付かないようビニールシートやマスキングテープで覆い、風でめくれないよう建物に密着させます。
塗装境界線の養生は外観に影響するためテープの位置や直線性に注意してください。
ステップ3.養生完了後の最終チェック
全体の養生が終わったら見落としや不備がないか再確認します。特に以下の点に注意が必要です。
- 窓やドアが問題なく開閉できるか
- 室外機や給湯器の通気が確保されているか
- 養生シートに浮きや破れがないか
最終チェックを怠ると設備の汚れや近隣トラブルのリスクが高まるため、自身の目で確認することが大切です。
外壁塗装における養生の期間

養生期間中は窓が開けられないなど生活制限がかかります。
一般的な戸建て住宅の場合、養生期間は5日~10日間です。
足場の設置・高圧洗浄が終了した後に行い、下塗り・中塗り・上塗りの全工程が完了し、乾燥を確認してから撤去されます。
天候が悪く工期が延びれば、養生期間も延長されます。
期間中の生活への影響
養生期間中は以下の制限が発生します。
- 換気ができない:
窓が塞がれるため、室内が蒸し暑くなりやすい。 - 洗濯物が干せない:
ベランダが使用不可となるため、部屋干しかコインランドリーの利用が必要。 - エアコン制限:
室外機の養生方法によっては使用できない時間帯が発生する。 これらは「開口養生」や「メッシュカバー」などの工夫で緩和できるため、事前に業者へ相談してください。
外壁塗装における養生の注意点

養生期間中の主な注意点は、「強風による破損リスク」「換気不足などの生活への影響」「隙間からの塗料漏れ」の3点です。これらを事前に把握し対策することで、トラブルを回避できます。
注意点1.天候による養生のズレや破損に注意する
養生に使用されるビニールシートやテープは、強風や雨の影響を受けやすいです。
特に梅雨や台風の季節は養生のズレや破損が起きやすいため、マスキングテープと組み合わせて固定し、建物の凹凸に沿って丁寧に施工することや、現場での補修体制を整えることが必要です。
注意点2.生活設備の使いづらさに注意する
養生がすべての設備を覆うと、窓が開けられない、換気扇が使用できない、エアコンが稼働しないなど生活上の不便が生じます。
夏季には室外機の覆いによって冷房が使えなくなる場合もあります。使用頻度や生活動線を考慮した柔軟な養生方法が求められます。
注意点3.養生の隙間や浮きによる塗料漏れに注意する

テープの端に浮きや凹凸部分に隙間があると、そこから塗料が入り込み窓ガラスや外構、室内にまで付着するリスクがあります。
リスクを防止するには、施工完了後の最終チェックで浮きや隙間がないかどうかを入念に確認し、必要に応じて補修を行うことが大切です。
\ 簡単30秒!あなたに合う塗装業者が探せる /
養生をしないとどうなる?よくあるトラブル事例

養生を怠ると、近隣の車や家屋への飛散による「損害賠償トラブル」や、塗装ラインの歪みによる「施工不良(見た目の悪化)」に直結します。手抜き工事が招くリスクは甚大です。
近隣からのクレーム・損害賠償への発展
養生をせずに塗料が隣家の車や外構に付着すると、損害賠償問題に発展する可能性があります。
特に住宅が密集している場所では少量の塗料飛散でも被害が大きくなりやすいため、適切な養生処理や業者の損害賠償保険加入が必須です。
仕上がりのムラ・色分けラインの乱れ

境界となる養生が不十分だと、塗料のにじみや色分けラインの歪みが生じて美観を損ね、再塗装が必要になり工期延長や追加費用が発生します。
剥がし残しや粘着トラブルによる二次被害
粘着力の強いテープや長時間の貼り付けは、塗装面の傷や剥がれを引き起こすリスクがあるため、資材選択と剥がしタイミングに注意が必要です。
自動車や植栽への付着による補償問題
車両や庭木に塗料が付くと高額なクリーニング・補修費がかかることがあり、近隣所有物の場合は賠償や訴訟に発展する恐れがあります。
施工前に車両を敷地外へ移し、植栽は業者と相談し適切に保護してもらうこと、業者の賠償保険加入確認も重要です。
信頼できる業者選びのポイント

養生が丁寧な業者は、「見積書に養生費の内訳が明記されているか」と「施工事例で養生の写真を公開しているか」の2点で判断できます。細部へのこだわりは、そのまま塗装品質に表れます。
- 養生の説明や施工事例の確認があるか
見積もり時や現地調査で、養生についてどのような説明があるかを確認しましょう。施工事例の写真があると、丁寧な養生が行われているかが判断しやすくなります。
- 見積書の記載や説明が明瞭か
「ビニール養生」や「飛散防止ネット」などの記載があるか、金額だけでなく内容も具体的に説明できる業者を選ぶのが安心です。
- 保険加入の推奨やトラブル対応の姿勢が丁寧か
請負業者賠償責任保険などへの加入有無、トラブル発生時の対応方針が明確かどうかも要チェックです。誠実な業者は、リスクへの備えも丁寧に伝えてくれます。
\ 簡単30秒!あなたに合う塗装業者が探せる /
まとめ|養生を理解して後悔のない外壁塗装を

外壁塗装における養生は、単なる準備作業に留まらず、仕上がりの品質、生活環境の維持、安全性、さらには近隣トラブルの防止に直結する非常に重要な工程です。
養生によって塗料の飛散や不要な部分への付着を防ぎ、建物の美観と保護を両立させることが可能となります。特に初めて外壁塗装を依頼する方には、養生の重要性を理解することで、施工の質を見極め、納得のいく工事を進めるための基礎知識となります。
施工後の後悔を防ぐためには、養生に関する知識をしっかり持ち、信頼できる業者選びと工程の確認が大切です。
ペイプロでは、厳選された優良な外壁塗装業者を紹介しています。ご相談は無料で行っておりますので、お気軽にお問い合わせください!
\ 簡単30秒!あなたに合う塗装業者が探せる /
