屋根の劣化は、見た目の問題だけでなく、住まい全体の耐久性や快適性に大きな影響を与えます。特に雨漏りは、建物の構造材を腐食させ、大規模な修繕が必要となることもあるのです。
そこでこの記事では屋根リフォームの中でも特に注目されているカバー工法に焦点を当て、そのメリット・デメリット、そして人気のガルバリウム鋼板について詳しく解説します。
費用相場や業者選びのポイントまで、あなたの家が後悔しない最適なリフォームを選ぶための情報もありますのでぜひ参考にしてください。
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屋根カバー工法が注目される理由とリフォームの基礎知識

屋根のカバー工法とは、既存の屋根材を撤去せずにその上から新しい屋根材を重ねて設置する工法です。
その特徴と選ばれる理由を詳しく解説します。
カバー工法の特徴とは?
屋根材の「重ね葺き」によって、既存の屋根材の撤去費用や処分費用を大幅に削減できるため、費用を抑えつつ、新しい屋根材の優れた性能を享受できるのが最大のメリットです。
ではカバー工法がなぜ注目されているのかを深掘りするため、まず他の工法と比較してまとめました。
比較する項目 | カバー工法 | 葺き替え工法 | 塗装工事 |
---|---|---|---|
工法の概要 | 既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ねて設置 | 既存の屋根材を全て撤去し、新しい屋根材に交換 | 既存の屋根材の上から塗料を塗り直す |
費用 | 比較的安価 | 高価 | 最も安価 |
工期 | 短い | 長い | 短い |
騒音・粉塵 | 少ない | 多い | 少ない |
廃材処理 | 少ない | 多い | ほぼなし |
耐久性 | 高い | 高い | あまり高くはない |
適した条件など | 既存屋根の劣化が軽度〜中度、下地の状態が良い | 既存屋根の劣化が激しい、アスベスト含有など | 既存屋根の劣化が軽度、表面的な美観改善 |
カバー工法が選ばれる3つの理由
カバー工法が近年、多くの住宅所有者から選ばれるのにはいくつか理由があります。ここでは代表的な3つを説明します。
理由1.費用を抑えられる経済性
葺き替え工法と比較して、既存の屋根材を撤去する費用や、発生する大量の廃材の処分費用がかからないため、全体的なコストを大幅に削減できます。
作業負担も少ないため、経済的に優れた選択肢です。特に、既存の屋根材にアスベストが含まれている場合、撤去費用は高額になる傾向がありますが、カバー工法であればその心配がありません。
理由2.工期の短縮と生活への影響の少なさ
既存屋根材の撤去作業がないため、葺き替え工法に比べて工期が短縮されます。
一般的に、葺き替え工法が1週間から2週間程度かかるのに対し、カバー工法は数日から1週間程度で完了することが多いです。工期が短いことで、騒音や粉塵の発生も少なく、よりストレスなくリフォームを終えることができます。
理由3.既存屋根材の撤去費用や処分費用の削減
前述の通り、既存屋根材の撤去と処分は、多くの費用がかかるのが一般的です。
特に、アスベスト含有の屋根材の場合、特別管理産業廃棄物としての処理が必要となり、その費用はさらに高額になります。
カバー工法は、この撤去費用や処分費用が不要であるため、トータルコストを抑えたい方にとって非常に魅力的な選択肢となります。
屋根の劣化症状と放置によるリスク
常に屋根の劣化は進んでいます。その屋根の劣化は以下のような形で現れてきます。
- 色あせ・変色
紫外線による塗膜の劣化で、屋根材本来の色が失われます。 - 塗膜の剥がれ
塗膜が剥がれることで、屋根材本体が紫外線や雨に直接さらされ、劣化が加速します。 - コケ・カビの発生
湿気の多い環境で発生しやすく、屋根材の呼吸を妨げ、内部の劣化を促進します。 - ひび割れ
衝撃や経年劣化により、屋根材にひびが入ったり、一部が欠けたりします。 - 反り・浮き
屋根材が湿気や乾燥を繰り返すことで、反りや浮きが生じることがあります。 - 雨漏り
最も深刻な劣化症状で、屋根材の破損や防水シートの劣化により、雨水が屋根の内部に浸入します。
これらの劣化症状を放置すると、単に雨漏りが発生するだけでなく、以下のような深刻な問題を引き起こす可能性があります。
<劣化の放置で起こる深刻な問題>
- 構造材の腐食
雨漏りにより、屋根の下地材や柱、梁といった建物の構造材が腐食し、家の耐久性が著しく低下します。 - シロアリ被害
湿気を好むシロアリが発生し、構造材を食い荒らすことで、耐震性にも影響を与えます。 - カビ・ダニの発生
室内にも湿気がこもり、カビやダニが発生し、ぜんそくやアレルギーの原因となることがあります。 - 断熱性の低下
屋根材の劣化や雨漏りにより、断熱材が湿気を帯びたり機能が低下したりすることで、冷暖房効率が悪化します。
これらの問題を防ぐためにも、屋根の定期的な点検と適切なタイミングでのリフォームが不可欠なのです。

屋根カバー工法にガルバリウム鋼板を使用するメリット

ガルバリウム鋼板は、屋根材として近年注目を集めている素材です。
その名前の通り、「ガルバ」と略されることもあります。アルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%からなる合金でメッキされた鋼板で、その組成が独特の優れた特性を生み出しています。
屋根カバー工法にガルバリウム鋼板は高い耐久性、耐震性、デザイン性が評価されています。ここではそのメリットについて詳しく解説します。
高い耐久性
ガルバリウム鋼板が持つ最大の魅力は、その高い耐久性です。特に、錆びにくさにおいては、他の金属屋根材を凌駕する性能を発揮します。その秘密は、メッキ層にあります。具体的には以下の特徴によるものです。
犠牲防食作用
メッキ層に含まれる亜鉛は、鋼板よりも先に腐食することで、鋼板の腐食を防ぐ「犠牲防食作用」を発揮します。
もし表面に傷がついても、亜鉛が優先的に溶け出して錆の進行を食い止めるため、長期間にわたって美観と性能を維持できます。
不動態皮膜
アルミニウムは空気中の酸素と結合して、緻密で安定した「不動態皮膜」を形成します。
この皮膜が、水や酸素の浸入を防ぎ、錆の発生を抑制します。
これらの特性により、ガルバリウム鋼板は一般的に穴あき保証が25年、塗膜保証が10年など、長期保証が付けられていることが一般的です。
軽さが引き出す耐震性
ガルバリウム鋼板は、瓦やスレートなどの他の屋根材と比較して、非常に軽量であるという特徴があります。その軽さは、建物の耐震性向上に大きく貢献します。
屋根の重さは、地震発生時の揺れに大きく影響します。屋根が重いほど、揺れのエネルギーが大きくなり、建物にかかる負担が増大します。
ガルバリウム鋼板の屋根は、瓦屋根の約1/10、スレート屋根の約1/4程度の重さしかありません。屋根が軽くなることで、地震時の建物の重心が下がり、揺れが抑制されます。
これにより、建物にかかる負荷が軽減され、倒壊のリスクを低減することができます。特に、地震が多い日本において、ガルバリウム鋼板は「災害に強い家づくり」において重要な役割を担う屋根材と言えるでしょう。
豊富なデザインとカラーバリエーション
ガルバリウム鋼板は、その優れた機能性だけでなく、豊富なデザインも大きな魅力です。シャープな印象の縦葺き、瓦のような横葺き、洗練された平板葺きなど、様々な形状の製品があります。
また、カラーバリエーションも非常に豊富です。シックなモノトーンから、明るい暖色系、自然に溶け込むアースカラーまで、住宅のスタイルや外壁の色に合わせて最適な色を選ぶことができます。
現代建築にマッチするスタイリッシュなデザインから、和風建築にも馴染む落ち着いた色合いまで、選択肢が広いため、住まいの外観にこだわりたい方にもおすすめです。
さらに、近年では遮熱塗料を施したガルバリウム鋼板も登場しています。これは、太陽光を反射することで屋根表面の温度上昇を抑え、室内の温度上昇も抑制する効果があります。夏の冷房費削減にも繋がり、省エネにも貢献します。
メンテナンスのしやすさ
ガルバリウム鋼板は、苔やカビが発生しにくいという特徴があります。これは、一般的なスレート屋根のように表面がざらざらしていないため、胞子が定着しにくく、雨水によって洗い流されやすいからです。
しかし、メンテナンスフリーというわけではありません。経年によって塗膜が劣化したり、小さな傷がついたりすることがあります。
そのため、定期的な点検は非常に重要です。専門業者による点検を数年に一度行うことで、早期に問題を発見できます。適切な処置を施すことで、ガルバリウム鋼板の耐久性を最大限に引き出し、より長持ちさせることができるでしょう。
特に、沿岸部に近い地域や、交通量の多い道路沿いの家では、塩害や排気ガスによる影響も考慮し、よりこまめな点検が推奨されます。
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ガルバリウム鋼板を屋根のカバー工法に使用するデメリット

多くのメリットを持つガルバリウム鋼板ですが、デメリットも存在します。
他の屋根材に比べて断熱性が低い
ガルバリウム鋼板は金属素材であるため、瓦やスレートなどの他の屋根材と比較して、単体での断熱性が低いというデメリットがあります。金属は熱伝導率が高いため、夏場は屋根表面が熱くなりやすく、その熱が室内に伝わりやすい傾向があります。冬場は逆に、外気の冷たさが伝わりやすくなることがあります。
こうしたデメリットを解消するためには、以下の対策が有効とされています。
断熱材一体型ガルバリウム鋼板の選択
近年では、ガルバリウム鋼板の裏面に断熱材が一体化された製品も登場しています。
これにより、単体での断熱性の低さを補うことができます。
既存屋根材との間に通気層を設ける
カバー工法の場合、既存の屋根材と新しいガルバリウム鋼板の間に通気層を設けることで、熱ごもりを防ぎ、断熱効果を高めることができます。
遮熱塗料の利用
前述の通り、遮熱塗料を施すことで、太陽光の熱を反射し、屋根表面の温度上昇を抑えることが可能です。
傷や凹みが付きやすい
ガルバリウム鋼板は薄い金属板であるため、強い衝撃には弱く、傷や凹みが付きやすい特性があります。
例えば、大きな雹が降ったり、硬いものが落下したりすると損傷を受ける恐れがあります。
また、工事中に職人が誤って工具を落とすなど、施工中の不注意でも傷が付くことがあります。
一度ついた傷や凹みは、完全に修復することが難しい場合があります。美観を損ねるだけでなく、傷から錆が発生するリスクも考えられます。このため、施工時はもちろん、その後のメンテナンス時にも注意が必要です。
施工が難しい
ガルバリウム鋼板は、施工が難しい素材でもあります。金属加工の技術や知識が必要であり、熟練した職人でなければ美しい仕上がりや十分な防水性を確保することが難しい場合があります。
特に、屋根の形状が複雑な場合や、急勾配の屋根などは高い技術力が求められます。
適切な知識と経験を持たない業者が施工を行うと、雨漏りの原因になったり、施工不良による不具合が発生したりするリスクがあります。
そのため、ガルバリウム鋼板の屋根カバー工法をする際は、施工実績が豊富で、専門的な技術を持った業者を選ぶことが非常に重要です。
ガルバリウム屋根カバー工法をする最適なタイミングは?

屋根のカバー工法を検討する最適なタイミングは、既存屋根材の劣化状況によって異なります。一般的に、築20年〜30年程度で一度屋根のリフォームを検討する時期とされています。
具体的には以下の状況になったら検討するべきでしょう。
屋根材の劣化が進行しているが、雨漏りがない場合
前述したように、色あせやコケ・カビの発生、塗膜の剥がれなど、屋根材表面の劣化が目立ち始めた段階が、カバー工法を検討する良いタイミングです。
まだ雨漏りが発生していないため、既存屋根材の撤去なしで施工でき、費用を抑えられます。
スレート屋根の寿命が近いと感じる場合
スレート屋根は、一般的に20〜30年が寿命とされています。この時期になると、ひび割れや欠けが目立つようになり、防水性も低下してきます。葺き替えの前に、カバー工法で延命を検討するのも一つの手です。
アスベスト含有の屋根材を使用している場合
既存の屋根材にアスベストが含まれている場合、葺き替えを行うと高額なアスベスト除去費用が発生します。
カバー工法であれば、アスベストを飛散させることなく新しい屋根を施工できるため、安全面・費用面の両方でメリットがあります。
耐震性を高めたい場合
築年数が経過した住宅で、地震対策として屋根を軽量化したいと考えている場合も、ガルバリウム鋼板でのカバー工法は有効な選択肢です。
屋根カバー工法におけるガルバリウム鋼板の費用相場

ガルバリウム鋼板の屋根カバー工法の費用は、様々な要因によって変動します。
ここでは、費用を決める要素、相場シミュレーション、付帯工事、見積書の見方、補助金・助成制度、そして家庭でのメンテナンスについて詳しく解説します。
費用相場のシミュレーション
30坪程度の一般的な住宅(屋根面積約60㎡〜80㎡)におけるガルバリウム鋼板での屋根カバー工法の費用相場は、70万円〜150万円程度が目安とされています。
例えば、シンプルな切妻屋根でガルバリウム鋼板の標準グレードなら 70万円〜100万円とか、複雑な屋根形状でガルバリウム鋼板(高機能グレード)なら100万円〜150万円とされています。
ただしこれはあくまで目安であり、上記で挙げた要素によって大きく変動します。
そこで初期費用を抑えるポイントは、以下のようなものが考えられます。
<初期費用を抑えるポイント>
- 複数の業者から相見積もりを取る
複数の業者から見積もりを取ることで、適正価格を知り、費用を比較検討できます。 - 補助金・助成制度の活用
自治体によっては屋根リフォームに関する補助金や助成制度を設けている場合があります。(詳細後述) - ガルバリウム鋼板のグレードを見直す
必要以上の高機能な製品を選ばず、予算に合わせたグレードを選択することも重要です。 - 閑散期に工事を依頼する
業者によっては、閑散期に工事を依頼することで割引が適用されるケースもあります。
屋根カバー工法の費用を決める要素
屋根カバー工法の費用は、以下の要素によって大きく左右されます。
- 既存屋根材の種類と状態
既存の屋根材がスレートやアスファルトシングルなど、比較的軽量で平坦なものであれば、スムーズにカバー工法を進められます。
しかし、瓦屋根など重い屋根材の場合は下地の補強が必要になる場合があります。また、既存屋根材の劣化が激しく、下地まで損傷している場合は、部分的な補修が必要となり、費用が増加します。
- 屋根の形状と勾配
複雑な形状の屋根や、急勾配の屋根は、施工に手間がかかり、足場の設置もより厳重になるため、費用が高くなる傾向があります。
- 使用するガルバリウム鋼板のグレード
ガルバリウム鋼板には、メーカーや製品によって様々なグレードがあります。耐久性の高い製品や、遮熱塗料が施された高機能な製品は、その分価格も高くなります。デザイン性やカラーバリエーションの豊富さも価格に影響します。
- 施工面積
屋根の面積が広ければ広いほど、使用する材料費や人件費が増えるため、費用は高くなります。
- 足場設置費用
安全かつ効率的に工事を行うためには、足場の設置が必須です。足場の設置費用は、建物の高さや周囲の状況によって変動します。
- 諸経費(運搬費、廃材処分費など)
材料の運搬費用や、少量ながら発生する廃材の処分費用なども、諸経費として計上されます。
費用を左右する付帯工事と料金相場
屋根カバー工法と合わせて、以下の付帯工事が必要となる場合があります。これらの費用も考慮して総額を把握しましょう。
- 棟板金・軒先水切り・ケラバ水切り交換
新しい屋根材に合わせて、これらの役物も交換するのが一般的です。それぞれ数万円〜十数万円程度が目安です。
- 雪止め設置
積雪地域では、雪止めを設置することで、落雪による事故や被害を防ぎます。設置費用は、1mあたり数千円〜1万円程度が目安です。
- 雨樋交換・修理
屋根リフォームの際に、雨樋の劣化が見られる場合は、同時に交換や修理を行うのが効率的です。部分修理であれば数万円から、全体交換となると数十万円かかる場合があります。
- 谷板金交換
屋根の谷部分にある谷板金は、雨水が集まる重要な部分です。劣化が見られる場合は交換が必要です。数万円〜十数万円が目安です。
見積書のチェックポイント〜悪徳業者に騙されないために
一部に存在する悪徳業者に騙されないためには、見積書の内容をしっかりと確認することが重要です。そこで以下の点に注意してチェックしましょう。
<見積書のチェックポイント>
- 「一式表記」に注意
「屋根工事一式」など詳細な内訳が書かれていない「一式表記」には注意が必要です。何にいくらかかっているのかが不明瞭なため、後から追加費用を請求されるリスクがあります。
- 詳細な内訳の確認
材料費、施工費、足場費用、諸経費などが項目ごとに明確に記載されているかを確認しましょう。使用する材料のメーカーや製品名、数量なども具体的に書かれていることが望ましいです。
- 複数の業者から「相見積もり」を取る重要性
複数の業者から見積もりを取ることで、価格の相場感を把握し、不当に高額な見積もりや、逆に安すぎる見積もり(手抜き工事の可能性)を見抜くことができます。最低でも3社程度から見積もりを取り、内容を比較検討しましょう。
- 保証内容と保証期間
施工後の保証内容(工事保証、製品保証など)とその期間が明確に記載されているか確認しましょう。
- アフターサービス
定期点検や不具合発生時の対応など、アフターサービスの内容も確認しておくと安心です。
- 料金の支払条件
支払い回数や支払い時期、手付金の有無なども事前に確認し、納得した上で契約しましょう。

補助金・助成制度
自治体によっては屋根リフォームや耐震改修、省エネ改修などに対して補助金や助成制度を設けている場合があります。これらの制度を活用することで、費用負担を軽減できる可能性があります。
例えば「耐震改修工事」や「省エネ改修工事」の一環として屋根を軽量化したり、遮熱効果のある屋根材を使用したりする場合に、補助金の対象となることがあります。
また、特定地域の景観保全を目的とした助成金制度などもあります。これらの条件は自治体ごとに異なるため、事前に各自治体のホームページや窓口で確認することをおすすめします。
リフォーム業者も、補助金制度に詳しい場合がありますので、相談してみるのも良いでしょう。
【参考】地方公共団体における住宅リフォーム支援制度検索サイト
家庭でもメンテナンスをし汚れを落とす
ガルバリウム鋼板はメンテナンスがしやすい屋根材ですが、ご家庭でもできる範囲で定期的な清掃を行うことで、より長持ちさせることができます。
例えば表面の汚れの除去が重要です。
砂埃や鳥の糞、落ち葉などが溜まると、汚れが固着したり、腐食の原因になったりすることがあります。脚立や高圧洗浄機を使用する場合は、滑りやすい屋根の上での作業は危険を伴うため、十分な安全対策を講じるか、専門業者に依頼することをおすすめします。
また雨樋の清掃も忘れてはいけません。雨樋に落ち葉やゴミが詰まると、雨水がスムーズに流れなくなり、屋根や外壁への負担が増加します。定期的に雨樋の詰まりを確認し、清掃しましょう。
こうしたメンテナンスも自分の作業に不安がある場合は、無理せず専門業者に点検や清掃を依頼しましょう。
定期的なプロによる点検は、屋根の小さな異変を早期に発見し、大きなトラブルに発展する前に対応できるため、結果的に費用を抑えることにも繋がります。
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ガルバリウム鋼板を屋根カバー工法に使用した実例3選

ここでは、実際にガルバリウム鋼板を用いた屋根カバー工法の施工事例を3つご紹介します。様々な状況の屋根が、ガルバリウム鋼板でどのように生まれ変わったかをご覧ください。
実例1.屋根の劣化と塗装剥がれに対応したケース
このまま放置すると雨漏りのリスクが高まると判断し、カバー工法をご依頼いただきました。
Before
After
<ポイント>
トップライト周りは雨漏りに繋がりやすいので加工して施工。 既存の塗膜剥がれがひどくても、下地がしっかりしていればカバー工法は有効です。新しいガルバリウム鋼板で美観を取り戻し、耐久性も大幅に向上しました。
【施工事例参考】株式会社エースサービスの詳細はこちら
実例2.ソーラーパネルを一旦撤去して施工したケース
全体的に色あせが見られ、カバー工法をご希望されました。外壁と合わせた屋根の施工で、ソーラーパネルを撤去する必要がありました。
Before
After
<ポイント>
スレート屋根は経年で苔やカビが発生しやすく、美観を損ねるだけでなく、屋根材の劣化を促進します。カバー工法で新しいガルバリウム鋼板にすることで、苔やカビの発生を抑制し、メンテナンスの手間も軽減できます。またソーラーパネルがあっても施工してくれる業者選びが重要です。
【株式会社大和建装】株式会社大和建装の詳細はこちら
実例3.屋根だけでなく雨樋、外壁も総合リフォームしたケース
長期的な視野で必要と思われる対処をしようと屋根だけでなく、雨樋や塗装も同時に施工しました。
Before

After

<ポイント>
屋根カバー工法は既存屋根の撤去作業がないため、工事の負担を軽減できます。特に、屋根材のひび割れや雨漏り、断熱効果でお悩みの方にはお勧めの工法となりますので参考にしてください。
【株式会社フジモト建装】株式会社フジモト建装の詳細はこちら
ガルバリウム鋼板の屋根カバー工法で後悔しない業者の選び方

ガルバリウム鋼板での屋根カバー工法を成功させるためには、信頼できる業者を選ぶことが何よりも重要です。ここでは、後悔しないための業者選びのポイントを解説します。
施工実績や経験が豊富
ガルバリウム鋼板は専門的な施工技術が必要な屋根材です。そのため、ガルバリウム鋼板での屋根カバー工法の施工実績のある業者を選びましょう。
業者のホームページで施工事例を確認したり、直接問い合わせて実績を聞いたりすることが重要です。豊富な経験を持つ業者は、様々な屋根の形状や状態に対応でき、予期せぬトラブルが発生した場合でも適切な対処が可能です。
資格や許可の有無
屋根工事を行う業者には、建築業許可や特定の資格(例:かわらぶき技能士、建築板金技能士など)を持っている場合があります。これらの資格や許可の有無は、業者の技術力や信頼性を見極める材料になります。特に、建設業許可を持っている業者は、一定の経営基盤と技術力があると認められた証拠です。
保険への加入状況
万が一、工事中に事故が発生したり、施工後に不具合が生じたりした場合に備え、業者が適切な保険に加入しているかを確認しましょう。例えば、「工事賠償責任保険」や「生産物賠償責任保険」など、工事中の事故や、引き渡し後の不具合に対応できる保険に加入している業者は、万が一の時も安心です。
担当者の対応力
最初の問い合わせから見積もり、契約、工事完了まで、担当者の対応力も重要な判断基準です。
- 丁寧で分かりやすい説明
屋根の状況や工事内容について、専門用語を避け、分かりやすく丁寧に説明してくれるか。 - 質問への迅速な対応
疑問や不安な点に対して、迅速かつ的確に答えてくれるか。 - 親身な姿勢
顧客の要望をしっかり聞き、最適な提案をしてくれるか。
これらの点は、信頼できる業者であるかを見極める上で非常に重要です。また、担当者の態度が悪い、説明が曖昧などの場合は、トラブルに発展する可能性もあるため注意が必要です。
施工内容
契約前に、施工内容を細部まで確認することが大切です。
- 工事内容
使用する材料のメーカーや製品名、数量、具体的な施工手順などが明確に記載されているか確認しましょう。
もし不明瞭な点や、説明が曖昧な部分があれば、必ず確認し、納得できるまで説明を求めましょう。 - 保証内容と期間
工事保証、製品保証の有無とその期間、保証対象となる範囲が明確に記載されているか確認しましょう。
保証期間が長ければ長いほど、業者も製品に自信を持っている証拠と言えます。 - アフターサービス
定期点検や、工事後の不具合発生時の対応など、アフターサービスの内容も確認しましょう。
工事後のフォロー体制がしっかりしている業者は、長期的な信頼関係を築ける可能性が高いです。 - 料金の支払条件
支払い回数、支払い時期(着工前、中間、完工後など)、手付金の有無など、料金の支払条件も明確に書かれているか確認し、疑問点があれば解消しておきましょう。
ガルバリウム鋼板で屋根カバー工法をする注意点

ガルバリウム鋼板での屋根カバー工法は多くのメリットがありますが、注意すべき点もいくつかあります。これらの点を理解しておくことで、後悔のないリフォームを実現できます。
カバー工法が利用できないケースもある
すべての屋根にカバー工法が利用できるわけではありません。以下のようなケースでは、カバー工法ではなく、葺き替え工法や他のリフォーム方法を検討する必要があります。
既存屋根材が重い場合
既存の屋根材が瓦などの重い素材の場合、カバー工法を行うと屋根全体の重量が増加し、建物の耐震性に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、建築基準法や自治体の条例により、屋根の重ね葺き(二重構造)が制限されているケースもあります。総重量が基準を超える場合には、カバー工法は選択できず、葺き替えが必要です。
下地の劣化が激しい場合
既存屋根材の下地まで劣化が激しく損傷している場合は、カバー工法では根本的な解決にならないため、葺き替えが必要になります。
アスベスト含有屋根材
既存屋根材がアスベストを含んでいる場合、カバー工法であればアスベストを飛散させることなく施工できるため、費用を抑えることができます。
しかし、屋根材の破損が激しく、アスベストが飛散するリスクが高い場合は、専門業者によるアスベスト除去と葺き替え工法が選択されることもあります。
屋根の形状が複雑すぎる場合
複雑な屋根形状の場合、ガルバリウム鋼板の加工が難しく、カバー工法では対応できない場合があります。
定期的に塗装をし耐久性を確保する
ガルバリウム鋼板は耐久性に優れていますが、その表面の塗膜は紫外線や雨風によって徐々に劣化していきます。塗膜が劣化すると、色あせやチョーキング(白い粉が浮き出る現象)が発生し、美観を損ねるだけでなく、鋼板自体の保護機能も低下してしまいます。
そのため、ガルバリウム鋼板の美観と耐久性を長期的に維持するためには、定期的な塗装が推奨されます。一般的に、ガルバリウム鋼板の再塗装は、10年〜20年程度が目安とされています。塗装時期は、塗膜保証期間や屋根の劣化状況によって異なります。
再塗装を行うことで、以下の効果が期待できます。
- 美観の維持
色あせた屋根が新築時の輝きを取り戻し、住まい全体の印象が向上します。 - 耐久性の向上
新しい塗膜が鋼板を保護し、錆の発生を抑制し、屋根材の寿命を延ばします。 - 機能性の付与
遮熱塗料を使用することで、夏の暑さ対策にもなります。
定期的な点検と適切なタイミングでの再塗装は、ガルバリウム鋼板の性能を最大限に引き出し、長期にわたって安心できる屋根を維持するために不可欠です。
まとめ

屋根カバー工法とガルバリウム鋼板の組み合わせは、費用、工期、耐久性、そして耐震性といった多岐にわたる面で最適な選択肢となり得ます。既存の屋根材を撤去しないため、コストを抑えつつ、軽量で強靭なガルバリウム鋼板で住まいを生まれ変わらせることが可能です。
しかし、その成功は、費用と品質のバランスを適切に見極めること、そして何よりも信頼できる業者を選ぶことにかかっています。見積書の内容を細かく確認し、複数の業者から相見積もりを取り、施工実績や保証内容、担当者の対応などを総合的に判断することが重要です。
あなたの家にとって最適な屋根リフォームを選び、長く安心して暮らせる住まいを実現するために、ぜひこの記事で得た知識を活かしてください。