屋根修理のカバー工法にかかる費用は?相場・内訳・費用を抑えるコツを解説!

屋根修理のカバー工法に かかる費用は?

屋根の劣化や雨漏りが気になり始めたとき、工事方法としてよく聞くのがカバー工法です。カバー工法は、葺き替えに比べて工期が短く、廃材も少ないため人気があります。しかし実際に依頼しようとすると「費用はどれくらいかかるの?」「葺き替えよりお得なの?」と疑問を抱く方も多いはずです。本記事では、カバー工法の費用相場から内訳、費用に差が出る要因、さらに賢くコストを抑える方法まで徹底解説します。屋根修理を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること
  • カバー工法の費用相場
  • 費用に差が出る要因
  • 賢くコストを抑える方法
井上咲

監修者:井上咲
保有資格:宅地建物取引士

ビルオーナー業にてテナントとの契約業務、商業ビルの買収、不動産管理などを担当。現在は専業ライターとして、多くの不動産関連メディアに携わっている。

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目次

屋根修理のカバー工法とは?

屋根修理のカバー工法とは?

カバー工法とは、既存の屋根を撤去せず、その上から新しい屋根材を被せて施工する工法のことを指します。一般的には「重ね葺き」とも呼ばれ、スレート屋根や金属屋根の住宅でよく採用されます。屋根を完全に撤去する葺き替え工事に比べて、廃材処分費が少なく、工事期間も短縮できるのが大きな特徴です。

具体的な施工の流れとしては、まず既存の屋根の劣化状況を点検し、下地となる野地板や防水シートが十分に機能しているかを確認します。その上で、防水シートを新しく敷き、その上から金属屋根材や軽量スレート材を重ねて設置します。既存屋根を撤去しないため建物への負担が少なく、雨漏りを防ぐ効果も高いのが魅力です。

屋根修理のカバー工法のメリット

屋根修理のカバー工法のメリット

カバー工法のメリットは大きく分けて3つあります。

1.工期が短い
屋根の撤去作業が不要なため、工事期間はおよそ1週間〜10日程度が目安です。葺き替え工事が2〜3週間かかるのに比べて、居住者の生活への影響が少なく済みます。

2.費用を抑えやすい
撤去や廃材処分の工程が減る分、トータルコストを下げられます。特に大規模な屋根ではこの差が顕著です。

3.断熱性・防水性の向上
既存屋根と新しい屋根の二重構造になるため、遮音性や断熱性が高まる場合もあります。

一方でデメリットも存在します。既存の屋根の状態が悪い場合、たとえば下地の野地板が腐食していたり、防水シートが劣化していたりすると、カバー工法では対応できず葺き替えが必要になります。また屋根が二重構造になるため、建物全体の重量が増し、耐震性に影響する可能性も考慮しなければなりません。

そのため、カバー工法が適しているのは既存の屋根が比較的健全で、部分的な劣化や雨漏りがあるケースです。築20〜30年程度で、まだ下地が健全な住宅に多く採用されています。逆に築40年以上経過しており屋根全体の劣化が進んでいる場合には、葺き替えを検討した方が長期的に安心です。

このように、カバー工法は「低コスト・短工期」でありながら「下地の状態次第で選択が分かれる工事方法」といえます。まずは専門業者による屋根診断を受け、自宅の屋根に本当に適用可能かを見極めることが大切です。

カバー工法の費用相場と内訳

カバー工法の費用相場と内訳

カバー工法の費用は、屋根の面積によって大きく変動します。一般的な相場としては、1㎡あたり6,000〜10,000円程度が目安とされています。例えば、30坪(約100㎡)の住宅でカバー工法を行う場合、総額は60万〜100万円前後が想定されます。ただしこれはあくまで目安であり、屋根材の種類や既存屋根の状態、足場設置の有無によって最終的な費用は増減します。

実際の見積もりでは、単純に屋根の広さだけでなく「屋根の勾配」や「施工のしやすさ」も考慮されます。勾配が急な屋根は作業の安全性を確保するため追加費用が発生するケースもあります。また、住宅密集地では資材の搬入に制限があり、クレーンや専用車両を使うと費用が上がることもあります。

さらに、建物の階数や屋根の形状によっても価格は変動します。例えば、寄棟屋根は谷部分や接合部が多く施工の手間がかかるため、切妻屋根より割高になる傾向があります。

このように「1㎡あたりの単価」から算出できる概算費用を理解しておくと、見積もりが適正かどうかを判断しやすくなります。

費用の内訳

費用の内訳

カバー工法の費用は、大きく分けると以下のような内訳で構成されています。

  • 屋根材費用
    全体費用の約40〜50%を占める。選ぶ素材によって価格が大きく異なる。
  • ルーフィング(防水シート)費用
    防水性能を担保する重要な部分で、㎡単価は500〜1,000円程度。
  • 施工費(人件費)
    職人の人数や工期によって変動。屋根が複雑な形状だと人件費も上がる。
  • 足場設置費用
    安全確保のため必須。延べ床面積30坪の住宅なら15〜25万円程度が相場。
  • 諸経費・運搬費
    資材運搬、廃材処理、現場管理費など。数万円〜10万円程度。

特に注意すべきは「足場費用」です。屋根工事では必ず高所作業が伴うため、ほぼ必須で設置されます。仮に外壁塗装を同時に行う場合は足場を共有できるため、結果的にコストを抑えることが可能です。

見積もりを確認する際は、「材料費」と「施工費」だけでなく、これらの付随費用がどう計上されているかを必ず確認しましょう。業者によっては諸経費が高めに設定されているケースもあり、相見積もりで比較すると差が見えてきます。


代表的な屋根材の価格相場

代表的な屋根材の価格相場

カバー工法で使用される屋根材は主に金属系が中心です。軽量で既存屋根に重ねても耐震性に影響しにくく、耐久性や防水性に優れているからです。代表的な屋根材と相場は以下の通りです。

スクロールできます
ガルバリウム鋼板アルミ亜鉛合金めっき鋼板(SGL)アスファルトシングル銅板屋根
相場(1㎡あたり)6,000〜9,000円8,000〜10,000円4,500〜7,000円15,000円以上
特徴軽量で錆びに強く、近年もっとも選ばれる。コスパが良い。耐食性が高く、海沿いに適している。デザイン性が高く洋風住宅向き。強風に弱い面あり。高級感と耐久性に優れるが高額。寺社仏閣に多い。

屋根材選びでは価格だけでなく、耐用年数やメンテナンス性も考慮する必要があります。例えばガルバリウム鋼板は耐用年数が25〜30年と長く、塗装メンテナンスの手間も少ないため、結果的にライフサイクルコストを下げられる可能性があります。

また、屋根材によって住宅の外観イメージも大きく変わります。見積もり時には必ずサンプルや施工事例を確認し、費用とデザイン性のバランスを考えて選ぶことが大切です。

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費用に差が出る5つのポイント

費用に差が出る5つのポイント

屋根工事の費用が人によって大きく異なるのは、家の構造や立地条件、選ぶ屋根材、そして依頼する業者によって価格を左右する要素が多いためです。
同じ「カバー工法」でも、屋根の形が複雑だったり、下地の劣化が進んでいたりすれば追加費用がかかりますし、高性能な屋根材を選べばそのぶん単価も上がります。
加えて、足場の設置条件や業者ごとの見積もり基準によっても数十万円単位の差が生じることは珍しくありません。
だからこそ、見積もりを取る際は、「何にいくらかかるのか」という内訳と、その根拠を丁寧に確認することが、適正価格で納得のいく工事をするための第一歩となります。

1.屋根の面積と形状

屋根修理の費用は、面積が広いほど単純に資材費と施工費が増加します。例えば30坪(約100㎡)の住宅よりも40坪(約130㎡)の住宅の方が、同じ材料を使っても30万円以上の差が出るケースもあります。
さらに、屋根の形状も費用に影響します。シンプルな切妻屋根は施工が容易でコストを抑えやすい一方、寄棟屋根や入母屋屋根などは谷部分や接合部が多く、施工の手間が増えるため割高です。複雑な形状ほど材料のロスも出やすく、追加費用につながります。


2.既存の屋根の状態

2.既存の屋根の状態

カバー工法は「既存屋根の状態が良好であること」が前提です。もし既存の野地板が腐食していたり、防水シートが劣化していたりすると、補修費用が加算されます。
軽度の下地補強なら数万円で済むこともありますが、広範囲にわたる腐食が見つかれば、カバー工法では対応できず葺き替えに切り替える必要があり、費用は100万円以上跳ね上がることもあります。見積もり時には必ず現地調査を依頼し、下地の状態を丁寧にチェックしてもらうことが重要です。


3.屋根材のグレードや性能

3.屋根材のグレードや性能

屋根材はグレードによって価格が大きく異なります。標準的なガルバリウム鋼板でも、表面加工の種類や断熱材付きの製品を選ぶと単価が高くなります。
たとえば、断熱材付きの金属屋根は1㎡あたり+ 2,000〜3,000円の費用増につながります。ただし、断熱性能が向上すれば冷暖房費の削減に寄与するため、長期的にはお得になるケースもあります。短期的な費用だけでなく、耐久性・メンテナンス頻度・省エネ効果なども踏まえて総合的に判断することが大切です。


4.足場や周辺環境による施工条件

4.足場や周辺環境による施工条件

屋根工事は、高所作業のため、原則足場設置が必要です。しかし、家の周辺環境によっては設置が難しく追加費用がかかる場合があります。隣家との距離が近い住宅では狭小地用の特殊足場が必要になり、費用が20〜30%上がるケースもあります。

また、道路に面していない住宅や、資材搬入にクレーン車が必要な立地では、運搬費が別途発生します。施工条件は費用に直結するため、見積もりの際に「足場費用・運搬費がいくら含まれているか」を必ず確認しておきましょう。


5.業者による見積もり基準

5.業者による見積もり基準

同じ条件で依頼しても、業者によって見積もり金額が大きく異なるのは珍しくありません。その理由は、材料の仕入れルートや人件費の設定、諸経費の扱い方が違うからです。ある業者は屋根材の仕入れ価格が安くても、管理費を高めに設定している場合があります。
逆に、工事費用を抑えて集客し、保証やアフターサービスを省略する業者も存在します。そのため「見積もり金額の安さ」だけで選ぶのではなく、内容の内訳や保証条件まで比較することが重要です。

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カバー工法と葺き替え、どちらを選ぶべき?

カバー工法と葺き替え、どちらを選ぶべき?

屋根リフォームには大きく分けて「カバー工法」と「葺き替え」の2つの選択肢がありますが、どちらが適しているかは、屋根の状態と今後の暮らし方によって変わります。
費用・工期・メンテナンス性のバランスを重視するならカバー工法、根本的な修繕や資産価値の向上を求めるなら葺き替えが適しているケースが多いです。

それぞれにメリット・デメリットがあるため、「どちらが優れているか」ではなく、自分の家の状態と将来設計に合った工法を選ぶことが大切です。

工事費・工期・維持費の比較

カバー工法と葺き替えの最大の違いは「工事の規模」です。カバー工法は既存屋根を撤去せず施工するため、費用は60万〜120万円前後、工期は1週間〜10日程度で完了するのが一般的です。

一方、葺き替えは既存屋根を撤去する工程が必要なため、費用は100万〜200万円前後、工期は2〜3週間が一般的です。維持費の面では、葺き替えは下地も新しくするため次のメンテナンスまでの期間が長く、長期的に安心です。カバー工法は短期的なコストメリットが大きいものの、下地が古いままなので、いずれは葺き替えが必要になる可能性があります。


カバー工法が適しているケース

カバー工法が適しているケース

カバー工法が向いているのは、既存屋根の下地が健全で、表面の劣化が進んでいる場合です。築20〜30年で雨漏りは軽度、あるいは防水シートがまだ機能しているケースが典型です。工期を短くしたい、予算を抑えたい、生活への影響を最小限にしたい人にとっては大きなメリットがあります。また、断熱材付き金属屋根を採用すれば、省エネ効果も期待できるため、今後の光熱費削減にもつながります。


葺き替えが適しているケース

葺き替えが適しているケース

葺き替えが必要なのは、既存の屋根下地が腐食している場合や、雨漏りが深刻な場合です。特に築40年以上経過した住宅では、下地材や防水シートが劣化していることが多く、カバー工法では根本的な解決になりません。葺き替えは初期費用が高額ですが、屋根全体をリセットできるため次の大規模修繕までの期間を大幅に延ばせます。長期的に安心したい、資産価値を高めたい、将来の修繕コストを減らしたいという方には、葺き替えの方が適しています。

カバー工法の費用を抑えるコツ

カバー工法の費用を抑えるコツ

カバー工法は葺き替えよりも安価とはいえ、内容次第では100万円以上かかる大きな工事です。ですが、補助金や保険の活用、見積もりの取り方次第で、費用を数十万円単位で抑えられる可能性もあります。
同じ工事でも「誰に頼むか」「どのタイミングで行うか」によって、費用は大きく変動します。

費用を少しでも抑えるためには、公的制度を活用する・保険の適用範囲を確認する・相見積もりを通じて無駄な費用を省くといった工夫が効果的です。
ここでは、カバー工法で賢くコストを抑えるための具体的な3つのポイントをご紹介します。

補助金・助成金の制度をチェックして活用する

自治体によっては、屋根リフォームに関する補助金や助成金が用意されています。
特に「省エネリフォーム」「耐震改修」に関連した制度はカバー工法も対象になるケースがあります。例えば断熱性能を高める屋根材を導入すると、省エネ改修として補助を受けられる可能性があります。
条件や申請期限は自治体ごとに異なるため、工事前に市区町村の公式サイトや業者を通じて最新情報を確認し、積極的に活用しましょう。


火災保険の補償対象にならないか確認する

火災保険の補償対象にならないか確認する

風災や雪害などの自然災害によって屋根が破損した場合、火災保険で修理費がカバーされることがあります。例えば台風で屋根材が飛散した場合や、積雪で破損した場合は保険適用となるケースが多いです。全額は難しくても一部を補填できれば自己負担を大幅に軽減できます。保険会社に相談する際は「事故日から3年以内」という請求期限や、修理前の写真が必要になる点に注意しましょう。


相見積もりでムダな費用を見抜く

同じ工事内容でも、業者によって見積もり額が20〜30%違うことは珍しくありません。特に「足場費用」「諸経費」の扱い方に差が出やすいため、最低でも2〜3社から相見積もりを取ることが重要です
比較する際は金額だけでなく、施工内容や保証年数、使用する屋根材の種類も含めて判断しましょう。複数の見積もりを比較することで、不透明な費用を見抜き、適正価格で工事を依頼できる可能性が高まります。

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信頼できる業者選びのポイント

信頼できる業者選びのポイント

屋根工事は高額なため「できるだけ安く」と考えるのは自然ですが、費用だけで業者を選ぶのは危険です。
極端に安い見積もりは、施工の質を下げたり保証を省いたりしている可能性があります。
結果的に数年で不具合が発生し、再工事で余計なコストがかかることも。金額だけでなく、施工体制や保証条件も合わせて確認することが重要です。


施工実績・口コミ・保証内容の確認

施工実績・口コミ・保証内容の確認

業者を選ぶ際は、過去の施工実績や顧客の口コミを必ず確認しましょう。特にカバー工法の経験が豊富かどうかは重要です。また、工事後の保証内容もチェックポイントです。
屋根材のメーカー保証に加え、業者独自の施工保証がついているかを確認すれば安心度が高まります。10年保証が目安とされるケースが多いため、参考にするとよいでしょう。


見積もりでチェックすべき3つの項目

見積もりでチェックすべき3つの項目

見積もりを受け取ったら、以下の3点を必ず確認しましょう。

  • 屋根材の種類と数量
  • 足場や諸経費の内訳
  • 保証やアフターサービスの有無

金額の総額だけ見ても、実際にどこに費用がかかっているのかは分かりません。項目が詳細に記載されているかどうかは、その業者が誠実に対応しているかの指標にもなります。

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まとめ|カバー工法の費用を理解して賢く屋根修理を

まとめ|カバー工法の費用を理解して賢く屋根修理を

カバー工法は、葺き替えに比べて費用を抑えつつ工期も短く、住宅への負担が少ない工事方法です。ただし、屋根の状態や施工条件によっては費用が大きく変動するため、相場感を理解し、見積もりの内訳をしっかり確認することが大切です。補助金や火災保険の活用、相見積もりなどを組み合わせれば、さらに費用を抑えることも可能です。信頼できる業者を選び、長期的に安心できる屋根修理を実現しましょう。

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